矢三郎のブログ

日常の記録と勉強の記録を交互に書いていきます!

カズオ・イシグロ クララとお日さまを読んで

【注意】 このブログはネタバレを含みます。

 

今日、友人がブログをやっていることが判明!小一時間くらい話してしまいました。

久しぶりにブログを書いてみようと思い、この記事を書くことに至りました。

 

いやー、友人3人がブログをやっていることにビックリ、意外とみんな物書きが好きなんですね。その場でみんなで週一で報告しあおうという約束をしたわけです。

 

さて、最近カズオ・イシグロさんの「クララとお日さま」を読みました。私は専門書や論文を読むことが多いので、小説を読んだのは久しぶりです。最後に読んだのは3月で、森見登美彦の「四畳半タイムマシンブルース」で、その前は1月あたり、村上春樹の「スプートニクの恋人」ですね。どちらも良い作品でした。

 

僕自身、カズオ・イシグロの名前自体、ノーベル文学賞のニュースで知ったほどにわかで作品を読んだことがありませんでした。クララとお日さまが彼の著書の中で初めての作品となります。

 

結論から言うと、彼の作品はすごくよかったです。ノーベル文学賞を受賞するのも頷ける内容でした。彼はSFのジャンルでありつつ、様々な人に読みやすいような工夫がしてあります。

 

一般的にSF作品というと、理系の科学知識に詳しい人でないと楽しめない部分がありますが、彼の作品はSFのいいとこ取りで、科学が発展した世界における人間関係の変化や、「機会に人間の心が宿っているか」等の命題を考えさせてくれる内容となっています。

 

主人公であるクララはアンドロイドで、街にある雑貨店で販売されています。クララはB2型という1つ古い型で、新型であるB3型に嗅覚などで遅れをとっているとされています。クララは「周りを観察する能力」に優れており、やがてクララを購入する家族が見つかります。購入元はクリシー(母)とジョジー(娘)の一家であり、ジョジーは病弱であるということが判明します。ジョジーは難病であり、元気なときがあればベッドから出られないときもあり、クララは病気が治るように願ったり、行動したりなど四苦八苦します。

 

物語が進むにつれて、母のアンドロイドを買った理由と娘のアンドロイドを買った理由が異なっていたことが判明します。クララは母の目的を瞬時に理解し、自分の役割を理解します。(この部分は驚きました、仮に自分がクララだとしたら母の目的を簡単に飲み込めなかったと思います。)そしてジョジーを救うことが最適であると考えたクララはある「ミッション」に臨むこととなります。

 

最終的に成功し、ジョジーは健康に暮らしていくことができるようになります。しかし、クララはアンドロイド、機械には使い終わることが来ます。

 

最後の節でクララは解体工場のようなところで過ごすようになります。そこでかつての雑貨屋の店主に会い自分の人生を振り返るのです。クララは自分の人生を全うした、満足感に満たされながら物語は終結を迎えます。

 

どこかの論文で読んだ話ですが、死期が近い人に「この自分の人生でこうすれば良かったと後悔していることはなんですか?」とアンケートをとったところ、「家族と過ごす時間をもっととれば良かった」という回答が一位となったそうです。クララはそういう意味ではクリシー、ジョジーと良い人生を送ることができたということになれそうです。

 

主人公であるクララは真面目で素直であり、周りの人間からたくさんの情報を吸収するアンドロイドです。私自身、クララに同情する部分もありました。

 

また、カズオ・イシグロの作品を読んでみようと思います。受賞作の私を離さないではシチュエーションが「約束のネバーランド」と似ていると母から聞きました。他の作品も読んでみたいです。「アルジャーノンに花束を」が好きな人は多分クララとお日さま、好きだと思います。是非読んでみてください!